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松戸にまつわる話

難病からの復帰・高橋雅之選手【諏訪まゆ】

2017年8月31日

8月も終わり。極端に暑かったり涼しかったり、体調を崩しやすい気候でした。

秋が恋しくなりますね(^_^)

さて、今回のまつわる話は…?

前開催に出場した「高橋雅之選手」についてです 。

地元千葉 90期 2005年にデビューしました。

デビューから1年半後にはS級で初勝利を収め、「自分でもトントン拍子で昇級して行って、苦労したわけではありませんでした」と振り返ります。

そんな高橋選手、今から一年前にお会いした際「体調が悪いんです」と不安な表情を浮かべていました。
その日は平塚競輪の前検日。
結局、欠場をしてしまいました。

その後、検査の結果「潰瘍性大腸炎」と診断され痛みと高熱で入院をしました。
なかなか合う薬も見つからず、病状も悪化し先が見えない不安と痛みの戦いは数ヶ月続きました。

体内の炎症反応「CRP」の数値は、通常のおよそ100倍だったと言います。

「40度の高熱と痛みで、毎日意識が遠のいていました。病気は完治しないと聞いて、引退を考えました」

レースではいつも強気な高橋選手。そんな高橋選手の精神力にも限界が近づいていたのです。

「転院先が決まり、担当医師からステロイドの投与を提案されました。ステロイドは分量が難しく、投与しすぎると返って悪影響にもなります。
先生と相談しながら、少しずつ進めて行きました」

不安なステロイド治療。
先生との二人三脚で、様子を見ながら治療が始まりました。

「嘘みたいに痛みが治まって…でも、それもほんの少しの期間で、体がステロイドに反応して戦うから、痛みや発熱が出ます。
そして、落ち着いてからまた少量の投与…」

通常の潰瘍性大腸炎で使用する唯一の薬が合わず、手の施しようがなかった高橋選手。

珍しい方法での治療でした。

何度かステロイド投与と自然治癒との戦いを繰り返し、ようやく退院したのですが
体重は10キロも減ってしまいました。
アスリートにとって体重が10キロ減るということは、それだけの筋肉量が減ったようなもの。

「先生からは4ヶ月後の復帰を勧められたのですが…どうしてもS級にいたいという思いがあって、1月に復帰をしてみました。でも全然で…笑」
まだトレーニングもままならない状態での復帰は無謀だったようです。

「でも一回走ってみて、意外と走れる事も分かって。それと、A級でやるという覚悟が出来たのでスッキリしたんです!」
と、爽やかな笑顔で話してくれました。

長い闘病生活からあっという間にバンクに出てしまう、気持ちが強い高橋選手らしい決断でしたが心配でした。

また病院の先生からは、回復の早さに驚かれたようです。

「この病気は完治しない、いつ再発するか分からないんです。でも、病気をしたことで考え方やレースが変わりました。食べ物や疲労には今まで以上に気を配る事も出来ます!」

私が最初にお会いした時はヤンチャなイメージそのものでしたが、病気を経験した事で新しい高橋選手を見たような気がします。

自宅療養や入退院の間、高橋選手の心を支えたのは家族の存在。
「家にこんなにいる事もないし、子供たちとゆっくりしました。きっと1人だったら気持ちで負けていたと思います」

そして、高橋選手の兄弟子である廣田久将選手は

「今まではまだヤンチャで危ない部分もあったけど、物事の決断の仕方、考え方が急に変わってね(笑)一回り大人になったよ。逆に良かったと思う。一時はどうなるかと本当に心配だったんだけど…」
と目を潤ませながら話してくださいました。

そんな高橋選手「S級になる時、苦労もせずになったから。次、A級になったらしっかり力をつけて、またS級で勝負するための体を作りたいです!」
これからの選手生活を楽しそうに語ってくれました。

先日、毎月検診している病院から「経過良好」の診断を受け、「思い切り練習出来た!」と喜んでいました。

走れる喜び
プロとしてレースが出来る喜び

改めて感じながら復帰しました。

実は、療養中に「復帰したら取材させてほしい」とお願いしたのですが、最初の答えは「ノー」でした。
きっとそうだろうと思っていました。

若くして追い込み選手になった高橋選手、人一倍負けん気が強く、正義感も強く、弱みを人に見せないその姿こそが「らしさ」だと思っていました。
なんだか長期病欠していて、知らぬ間に復帰して、普通に過ぎて行く事を高橋選手は望んでいたのかもしれません。
しかし、すべての競輪選手が超人ではなく、様々なバックボーンがあり、苦労や挫折があり…

「人がやるから競輪」と言うように、応援してくださるファンの皆さまにいいところばかりを見せなくても良いのでは?と
私が無理にお願いした部分もあります。
申し訳ありません。

高橋選手、ありがとうございました!!

「同じ病で、再発を繰り返して苦しい思いをしてる人もいると思います。そんな方たちが僕を見て少しでも元気になってくれたら」

と、取材の最後に仰っていました。

これからもたくさんの熱いレースを見せてくれるはずです!
ぜひ皆さま、新生・高橋雅之選手にご注目ください!!

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